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超高齢化社会の到来 その2

前回のコラムでは、主にアルツハイマー型認知症の特徴についてご説明しました。

三大認知症の他の血管性認知症とレビー小体型認知症の場合は、さらに意欲と身体機能の低下が見られることがあります。程度の差はありますが、いずれの場合もそれぞれの症状には似ている部分があり、常に不安感や不快感を抱いています。社会生活を維持できなくなり、社会とのつながりを失うと、さらに孤独や寂しさを感じやすくなります。

理解力・記憶力・認識力などが低下していく中で混乱が増し、時にはパニックになり、自己を保つことも困難になるでしょう。そのような状況でも、患者自身には自分の存在を認めてほしい、必要とされたいという承認欲求があります。そのように見受けられる方が身近にいたら、コミュニケーションを工夫して、承認欲求(自己重要感)を満たしてあげることが望ましいです。
例えば、

  • 相手の顔の正面から見て話す、
  • 否定せずに大きくうなずいたり、笑顔で受け答えをする、
  • 身振り手振りを交えた「身体性」を伴った態度で臨む、などです。

(この欲求は誰もが持っているものなので、認知症であるか否かに関わらず、このような対応が求められるでしょう。)

つまり、認知症の方の身体的状況・心理的変化を理解し、会話の中でも可能な限り身体性を伴いながら受け入れてあげる必要があるのです。

逆に、強く否定したり、萎縮するくらいの強い口調で指示し続けると、ますますパニックになり認知機能の低下を招く危険があります。

今ある脳の機能・身体機能をしっかり活用するためには、前述のコミュニケーションの工夫に加えて、地域や(行政のサービス(家族会や介護保険でのデイサービスなど)を活用することも大切です。そうすることによって、介護する側も、ストレスが軽減して、心身共に余裕ができるはずです。

このように、認知症の特徴や認知症を取り巻く制度を把握することが大事になってきます。そして、認知症予防に取り組むことも、認知症を理解することにつながるでしょう。
例えば、

  • 普段から姿勢を意識し、そのためのエクササイズを習慣にする。
    これは、脳の血流や神経が姿勢に影響を受けているからです。背中が丸まってしまうと、生理的な湾曲が失われて首が理想的な位置に収まらず、脊髄と脳神経、そして頸部の血管が詰まってしまいます。
【姿勢矯正エクササイズの例(30秒~60秒のストレッチ)】
1
腹筋を伸ばすストレッチで胴体のバランスを保つ
23
ストレッチポールを利用して背骨を伸ばし胸郭を広げる
4
大胸筋、肋骨を開く
5
肋骨を伸ばして姿勢を保つ
  • 水分摂取を意識的に行い、なるべく2リットル以上の水を摂りましょう。水分が不足すると血流不全になり、血管性認知症のリスクが高まります。血流がよければ、アルツハイマー型にみられる脳に蓄積される不要タンパク質が循環し、不要物は腎臓でろ過されます。認知症予防に水分は欠かせません。
  • 栄養管理を重視して、脳の神経物質の材料になる鉄分やタンパク質をしっかり摂取します。レバーや赤身肉、卵がおすすめです。動物性タンパク質が不足して低栄養状態になると、認知機能が低下して疾患リスクが高まります。また、甘いものの摂取が増えると、神経物質が糖化したり、冷えて血流不全になったり、快感物質ドーパミンの浪費を招きます。さらに血糖値の乱高下が起こりやすくなり(※下記ご参照)、虫歯のリスクが増えるため口腔機能の低下を招きやすくなり、咀嚼力を弱める原因になります。しっかりとした咀嚼は、脳の神経を刺激し血流を促進しますが、口腔機能の低下はその作用を妨げます。
  • 日光をしっかり浴びる。認知症の初期にはうつ症状が現れやすいといわれています。心を落ち着かせ不安感を解消するセロトニンは、日光を浴びることで分泌が促されます。セロトニンには自律神経を整える、姿勢を改善する、血流を促進するなどの作用があるので、予防には欠かせません。通勤しながら、というような「ながら」ではなく、浴びるためのだけの時間をしっかり確保します。深呼吸やストレッチ、ウオーキング等を行いながら日光を浴びると、よりセロトニンの分泌が促がされます。
    ◎アルコールは脳を萎縮させ、セロトニンやドーパミンの分泌力を弱めるので注意が必要です。

※ご参照 糖と認知症の関係は、知って得する身体の歪みバックナンバー第176話「糖が及ぼす身体への影響と対策その7」 http://melmaga.toy-hoken.co.jp/karada/2017-06-20-1561.php もご参照ください)

超高齢化社会を乗り切り、次世代も安心して暮らせる社会となるよう、これらの取り組みを是非習慣にして下さい。