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胸椎の矯正 Ⅱ

ここでは胸椎3次元の歪みについて解説します。

3次元とは椎骨の3方向の歪みを指し、椎骨の屈曲または伸展、側屈、そして回旋の3方向となります。痛みが慢性化および軽度で全体に広がったような痛みは側屈と回旋の2方向=2次元までですが、そこに更に前屈=屈曲、または後屈=伸展の前後屈の変位が加わると3次元の捻挫となり炎症及び痛みが強く可動域制限も伴うレベルとなります。

2次元では複数の歪みとなりますが、3次元はその椎骨単体、一か所の歪みなのですが、痛みが強く、その影響で炎症、可動域制限も広がる(=放散痛)為、本人はそのトリガーポイントは正確に把握しずらいものです。

触診で確認すると、その原因個所が前屈だろうと後屈だろうと3次元変位で椎骨はほぼ後方突出している為、比較的特定することは容易です。

普段の姿勢不良や、前屈動作、くしゃみ、咳等が増長させて捻挫を起こしますが、それらはあくまで2次的後発的要素に過ぎず、大元はその椎骨が3次元に変位するほどに椎骨下の脊髄神経根が強く炎症、興奮していた為です。

神経根の炎症はその神経支配となる内臓や血管群、リンパ管、神経節等の炎症や病変、機能低下等が考えられます。痛みの発現は急性的でも、そこに至るまではそれらの神経支配領域が時間をかけて何らかの機能不全が進行した結果となります。

胸椎全体では構造的にほぼ後湾している為、身体の前屈動作よりも伸展動作に痛みが出る割合が多いようです。構造的に胸椎全体が後湾しているということは背骨が丸まっていて、椎骨単体では前屈=屈曲の連続で重なっていることと同義といえます。

3次元変位はそこから更に椎骨が前屈するより、後屈することで可動域制限及び疼痛が強い為、多くは後屈変位を伴う3次元になります。

胸椎2番左は循環器、3番は肺、5番右は肝臓、7、8番左は免疫系、9,10番右は胆嚢、11,12番及び腰椎1番は腎、副腎の内科的炎症、トラブルと予測されます。

 両手を頭の後ろに回して、変位箇所に術者の膝を当てます。そこを支点に可能な範囲で胴体を伸展します。この動作で椎骨は前屈から後屈に位置していきます。さらに患側へ側屈を加えます。椎骨的には側屈させると後方から前方回旋に位置してもいきます。

10秒程その位置から元に戻る方向へ軽く抵抗運動を行い、10秒程休憩、それを3~5セット繰り返します。痛みと可動域が大幅に改善され3次元変位が矯正されます。

胸椎の矯正

脊椎の痛みは内科的トラブルを示唆した現象、と言及してきましたが、構造的的には2種類あり、2次元的歪みからくる痛みと、3次元的ピンポイントの痛みがあります。

2次元的歪みは脊椎が左右どちらかへの回旋、及び側屈が重なった変位となり、例えば左に後方回旋すると右に側屈、右に後方回旋すると左に側屈へと歪んでいきます。この2次元的歪みの場合単体ではなく複数の脊椎が同様に同方向に変位し、急性的なものではなく慢性的であり、その影響から後方回旋側に脊柱起立筋群が隆起、盛り上がっています。

前述してきたように右隆起は肝臓系の慢性疲労、左隆起は脾臓、自己免疫の低下が予想されます。

この複数2次元的歪みは普段は気にならない、または少し重さを感じる程度ですが、交感神経優位な状態が続き、精神的肉体的疲労が蓄積すると、重い感覚が強くなったり、痛だるくなります。激痛まではいかないのも特徴です。

そして慢性化しているので筋肉の形状も記憶して、普段から隆起が起こり、そして高齢化していくと明らかに身体のバランスを崩し、多くの方がどちらかの側弯を生じ、歩行や立位の不安定さの起因となってしまってもいます。

下肢への左右への荷重も変わり、均衡が崩れているので腰や膝等負担もかかっています。

ですから長い目で見ると2次元的歪みは放置せず、バランスを考慮したエクササイズの実施、姿勢の意識、栄養バランスを見直す等すべきです。偏った栄養、好きなものばかり食していくとその蓄積として、後に必ず影響し苦しむことになるようです。

背中にタオル等あてがって胸椎の下部から両膝を当て、ゆっくり上部へスライドしていきます。両手で相手の両肘を引きますが、膝と相手の肘のベクトルを合わせると力点が合い、うまく矯正されてきます。

筋肉が形状記憶するくらい慢性化、蓄積していると過度な疲労が加わった時、筋肉を形成する細胞も酸欠、劣化して硬化してしまっています。矯正後は厚い板が取れたような、スッキリした感覚にはなりますが、この効果も一時的であることも付け加えておきます。

次回は3次元的歪みの解説と矯正を述べていきます。

背骨の歪みが示唆するもの

脊椎や仙骨の変位、亜脱臼、歪みは交感神経優位状態が継続し神経系の興奮、炎症によって生じると述べてきましたが、背骨の個所によって内科的問題も分類されてきます。

仙骨から腰椎4,5番の捻挫は、泌尿器系、生殖器系、消化器系の何らかのトラブル、炎症、病理等が示唆するものと考えられます。

腰椎1~3番、胸椎12番は腎臓、副腎に問題が生じている可能性があります。

背面、背骨を中心に右背部の隆起は肝臓、胆嚢の炎症、疲労が示唆されます。胸椎10,11右への回旋、歪みは胆嚢の問題、右5、6番は肝臓の問題が疑われます。

胸椎7,8番を中心に左側背部隆起傾向の場合、脾臓の炎症があります。脾臓はリンパを生成する臓器の為、リウマチ、ガン等自己免疫性疾患が疑われます。

胸椎2番左側の炎症から上司にかけて痺れ等は心臓、3,4番から肋骨、そして肩関節の痛み、炎症、可動域制限、石灰化等は呼吸器トラブルが考えられます。

胸椎1番、頸椎7番の問題、そこから生じる上腕の痺れは胸椎12番同様腎臓が炎症を起こしています。頸椎1、2番は眼精疲労や頭重につながったり、その部位が詰まると頭痛、不眠、発作性癲癇にも生じる恐れがあります。

また、それら脊髄から前述の肋骨、腹部、胸部、頭部、そして四肢に広がる神経領域支配はミオトームと言われ、体表面のトラブルから脊髄の炎症そして内科不良を見立てていく診断ポイントとなっています。

例えば足裏、踵の痛み、ふくらはぎの炎症等は仙骨、腰椎下部の神経支配となり膀胱等泌尿器のトラブルが疑われます。踵を整形外科で受診しレントゲンで撮影しても器質的に異常が見つかるわけではなく、泌尿器が要因となっていることはよくあるケースです。足関節背部はリンパ系で膝関節や鼠径部前部も同様に免疫トラブルを示唆しています。いずれも糖質過多の食生活も要因として疑われます。

足裏から内側の痺れや痛みや腎臓、脾臓がやはり問題視されます。

このように痛みの部位を直接病変等で考えるより、神経領域、そして東洋医学における経絡上の違和感等発現部位から脊髄、内科的な観点から予測し見極めていきます。