セラバンド療法 その4

前回に引き続き、日常生活では動かすことの少ない関節や筋肉に対して、セラバンドの収縮性を活かしたエクササイズをご紹介します。

○肩関節の屈曲+水平外転

1)セラバンドの両端を軽く握り、頭上に持ち上げます。
2)1, 2, 3, 4のリズムで息を吸いながら頭の後ろに下ろします。

1
1. 頭上に持ち上げる
2
2. 頭の後ろに下ろす

3)下ろしたら、そこから更に胸を広げ肩甲骨を寄せます。
4)5, 6, 7, 8のリズムで息を吐きながらまた頭上に持ち上げます。

3
3. 肩甲骨を寄せて胸を張る
1
4. 頭上に上げる

この動作を5~10回行います。肩に痛みがある方は下ろす位置を高めにしても構いません。
関節が硬い方でもセラバンドが伸びることで2)の動作が可能になります。
特に3)の胸を広げ、肩甲骨を寄せる動作は日常生活ではほとんど行われない為、肩や肋骨、鎖骨などの関節が潤滑され可動域が広がり、姿勢の矯正にもなります。

○肩関節の伸展

5)左の足首にセラバンドの端を結び、逆側を左手で持ちます。
6)上半身はしっかり起こし、左腕を1, 2, 3, 4のリズムで後ろ側に引き上げます(肩の伸展)。

5
5. 足首に縛る
6
6. 肩の伸展

7)そのまま腕を外側、内側と捻ります。
8)5, 6, 7, 8のリズムで腕を胴体の横まで戻します。

7
7. 外側に腕を捻る
8
8. 内側に捻る

この動作を5~10回行います。腕を前から上に挙げる屈曲動作が痛い方は逆にこの伸展動作を行うことで屈曲も徐々に楽に行えるようになります。
7)の捻る動作は肩のインナーマッスルを刺激します。この動作も日常生活でほとんど行うことがなく、肘や肩に違和感がある方には特におすすめで、関節の可動域を広げます。

◆日本徒手整体アカデミーHP <http://www.aoyamaseitai-ac.com/>
—— 日本徒手整体アカデミー 佐々木拓男・記

セラバンド療法 その3

前話に引き続き、セラバンドを使用したエクササイズをご紹介します。

セラバンドを使ったエクササイズでは、日常生活であまり使われない筋肉をトレーニングします。

今回は、大腿二頭筋といわれる大腿部裏側の筋肉にスポットを当てます。表側の大腿四頭筋は、立ち上がりや歩行は勿論、階段の昇り降りなど、日常的に頻繁に使われるので、無意識のうちに鍛えられています。
対する裏側の大腿二頭筋は、使用頻度が低いため、大腿四頭筋に比べて筋力低下を招きやすく、その結果大腿部表裏の筋力拮抗作用にアンバランスが生じて、膝関節や姿勢に影響を及ぼします。

筋力の弱さは硬さと同義なので、大腿二頭筋が硬く縮んで大腿部表裏の筋力バランスが極端に崩れると、膝関節が伸びなくなり、脚が屈曲したまま膝関節が歪んでしまいます。
そうなると日常的なつま先への加重により、足裏・脛・ふくらはぎの筋肉が硬くなり、足首の可動性が失われます。その状態が続くと、膝痛が起きたり、骨盤の動きが制限されることで腰が伸びなくなり、腰痛や姿勢不良を招いてしまいます。

1
表裏の拮抗バランスがとれていると膝はまっすぐ伸びる
2
裏側の大腿二頭筋が収縮し、膝が伸びきらなくなる

仰向けに寝て脚を伸ばした時の膝関節の痛みは、前述の、膝関節が日常的に伸びきっていない方に多く見受けられます。

歩行時に前へ進む推進力を生み出す筋肉は、大腿二頭筋や臀部等の下半身裏側の筋肉群です。陸上の短距離選手は、大腿部前面よりも大腿二頭筋を重点的に強化します。

膝の違和感、歩行スピードの低下や姿勢不良が気になり始めた方は、セラバンドによる大腿二頭筋のエクササイズで、大腿四頭筋との拮抗バランスを改善させましょう。

セラバンドの片端を椅子等に、もう片方の端を足首に固定し、膝の位置をなるべく変えずに、そのまま膝を曲げていきます。セラバンドの抵抗によって大腿二頭筋が強化されます。

ゆっくり膝を伸ばして元の位置に戻します。1, 2, 3, 4, のリズムでゆっくり曲げ、5, 6, 7, 8, のリズムでゆっくり戻します。5~10回毎日行います。

3
セラバンドを足首に固定
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ゆっくり膝を曲げていく
3
ゆっくり元に戻す

セラバンド療法 その2

前回のコラムでは、セラバンドというリハビリ用アイテムを使用して肩のインナーマッスルや関節を調整する方法をご紹介しました。

今回は、股関節のインナーマッスルの調整法をご紹介します。股関節というと、開く=開脚することが骨盤やO脚の矯正になったり、冷えやむくみを解消したりするので、健康には良いと言われてきました。開脚に特化した健康本も人気があるようです。

しかし、開脚の柔軟性を向上させても骨盤の矯正にはつながりません。単純に開くだけでは骨盤の左右のバランスは解消されず、骨盤が歪んだまま股関節だけ柔軟になるので、股関節の亜脱臼を引き起こします。開きすぎると骨盤前部の恥骨が歪み、脚の付け根の「引っかかり感」が増長されます(http://melmaga.toy-hoken.co.jp/karada/2014-08-20-1212.php参照)。

骨盤に付着している股関節の骨頭部(こっとうぶ)は球状なので、開脚方向(外転(がいてん))だけでなく、内側(内転(ないてん))や回旋方向(外旋・内旋)、脚の前方(屈曲)、後方(伸展)にも動きます。股関節だけ一方向に広げようとすると、関節の形状は歪(いびつ)になり、炎症や痛みを引き起こしてしまいます。また股関節は、骨盤を含む胴体と連動した動きを伴わないと、身体機能の向上にはつながりません。

そもそもO脚や冷え・むくみの原因は糖の継続・過剰摂取なので、食生活を変えないと改善しません(http://melmaga.toy-hoken.co.jp/karada/2014-04-18-1177.php参照)。骨盤は自転の影響で必ず歪むので、ストレッチを行ってもすぐに元に戻りますし、歪んでいても弊害はありません(http://melmaga.toy-hoken.co.jp/karada/2015-07-20-1318.php参照)。

肩関節同様、股関節を単独で動かして身体機能を向上させたり痛みを改善させるには、インナーマッスルを効果的に鍛える必要があります。

椅子に座り、セラバンドを足首に巻きます。

01
1. 椅子と脚をセラバンドで結ぶ

膝を少しだけ持ち上げ、膝から下をゆっくりと内側に少し曲げます。

02
2. 膝を少し持ち上げる

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3. 膝を支点に内側へ曲げていく

ゆっくり戻したら外側にもゆっくりと曲げ、またゆっくりと戻します。

04
4. 膝を支点に外側にも曲げる

股関節の靭帯や恥骨筋、梨状筋等のインナーマッスルを鍛え、関節を正常な位置へ矯正します。

上記1から4を左右の股関節に5回ずつ行います。

2019年も宜しくお願い申し上げます!

皆様こんにちは!

年末あわただしく、先月のコラムを掲載してからの更新が新年となってしまいました。

昨年はいかがお過ごしでしたでしょうか?皆様には昨年もまた誠にお世話になり、深く御礼申し上げます。

20代、30代、40代、50代、60代・・・それぞれの年代でそれぞれのタスクがあり、すべきことがあり、その年代じゃないとできない経験があり、その年代だからこそ得られない学びや求められることもあるかと思います。

時代がどう変化しようと、平成の年号が終わろうと現実生活は刻々と淡々と過ぎていくので、報道や情報に惑わされず世の中と自分を客観視しながら、この先自分自身がどう生きていきたいのか、柔軟に変化、対応させつつ軸はぶれずに歩みを止めることなく進んで行きたいと思います。

結局毎年同じなんですけど、その中でもテーマや目標をしっかり持って本年も取り組み、年末に良い年だったと振り返れる年にしたいと願います。

今年は書籍第2弾刊行予定で現在も校閲作業が進んでおります。タイトルは「運動で体質が改善できなかった人が読む本」の予定です!ご期待ください!

本年も整体施術、スクール、執筆活動等変わらず精進してまいります。

2019年も何卒宜しくお願い申し上げます。

セラバンド療法 その1

身体の部位には外側表層の大きな筋肉群であるアウターマッスルや、インナーマッスルといわれる内側の小さな筋肉群、様々な方向に動く関節が存在します。
インナーマッスルや多角的に動く関節は、マシンなどを使用した通常の筋力トレーニングやストレッチではケアしきれない部位で、日常生活でも動かすことが少ないのです。

それらの部位は本来の可動域まで動かしきれていないと、圧迫や血液循環の不全が生じ、硬化して石灰化を起こしたり(当コラム163話『身体の石灰化のお話』参照: http://melmaga.toy-hoken.co.jp/karada/2016-05-20-1425.php)、炎症を起こしたりしやすく、痛みの引き金になることも少なくありません。その対策として“セラバンド”を使用したエクササイズを行います。

“セラバンド”とは、リハビリの運動療法に使われる伸縮性の強いゴム製のバンドです。最近は100円ショップでも購入でき、いくつか種類があります。

1s 2s

ドアのノブや柱などにくくりつけて活用
3s

 

肩のインナーマッスルといわれる部位のエクササイズをご紹介します。
棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)といわれる肩甲骨周辺の筋肉が硬くなると、腕が上がりにくくなり、上げるときに痛みを伴います。

柱やドアのノブなどにセラバンドをしばり、端の部分を軽く握ります。脇を締めて肘を90度に曲げ、肘を支点にして前腕を身体の内側や外側にゆっくりと曲げます。

4s5s

6s7s

肩の内旋・外旋といわれる動作で、継続して行うと肩の可動域が徐々に広がり、腕を上げやすくなります。
1セットを10回として、それぞれ1~2セット行います。痛みが軽減して肩の可動域が広がるまで、毎日行いましょう。

次回もセラバンドを使ったエクササイズをご紹介します。

口腔環境を整える その4

このシリーズの最後として、口腔環境を整える歯磨きについて説明します。

歯ブラシは強く握らず、鉛筆持ちで添えるように持ちます。
前歯はまず小刻みな横磨きでやさしく、次に縦に3分割で磨きます。

1
1. 小刻みに横磨き
2
2. 縦磨きは3分割で行う

前歯の裏側は、下から上に歯ブラシを動かして磨きます。

3
3. 下から上に動かす

奥歯は、細かくソフトに歯ブラシを動かします。

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4. 奥歯内側
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5. 奥歯外側

歯磨きをするタイミングで構いませんので、口腔内をしっかり鏡で観察してください。

そのポイントは、食べかすが残っていないか、上顎内に痰がついていないか、舌に苔などの汚れがついていないか、虫歯や歯の揺れがないかなどです。

これらの結果で口腔内の保湿状況がわかります。乾燥していると、睡眠時の口呼吸によって気管支に問題がおきていたり、唾液の分泌が正常でない可能性も考えられます。

食べかすが細菌と混ざると舌のコケになります。虫歯があるとしっかり噛めなくなることがありますし、虫歯は糖質の過剰摂取などの栄養摂取の偏りを示唆します。口腔環境を整える上で、しっかり正しく歯磨きを行うことが大切なケアとなります。

補足ですが、加齢などによって歯が失われた場合に、元々歯があった部分やその周囲の硬組織で、入れ歯が入るスペースを、デンチャースペースといいます。

歯が抜けたまま放置していると、噛み合わせのバランスが崩れ、徐々にデンチャースペースが上下顎で変性し、噛み合わせが更にアンバランスになり、骨化して入れ歯の装着が困難になってしまいます。そうなると唾液の分泌不足が生じたり、しっかり噛めなくなることで栄養の吸収が悪くなったり、会話がしにくくなったりして、口腔環境は悪化してしまいます。

放置せず早めに歯科医に相談することをお勧めします。

口腔環境を整えることの必要性とその方法を述べてきましたが、改めてご自身の口腔内の健康チェックをしてみてください。

  • むせることがある
  • 唾液がたまりやすい
  • 口が渇く
  • 飲み込みにくいことがある
  • 硬い物が噛みにくくなった
  • 舌に白いコケがついている
  • 声が変わった
  • よく咳をする
  • 食事を残すことが多くなった
  • 体重が減った

当てはまる項目が複数ある方は、口腔機能の低下によって身体機能も低下していると思われますので、口腔環境をしっかり整えるように努めましょう。

口腔環境を整える その3

口腔環境を整えることの重要性、そして具体的な対策として嚥下能力(食物を飲み込む力)を上げる為の首や舌の運動と発声方法をご紹介致しました。

嚥下能力の向上を目的とした発声練習は食物をしっかり噛んで、噛み砕き、唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすい大きさや固さにして飲み込む運動=咀嚼の力を養います。この咀嚼運動は顎関節や咀嚼筋、表情筋が関わってきます。

これらには顎神経、三又神経等を通して脳へ刺激を伝えます。脳への情報を伝えるのは手からが25%、足が25%、そして顎からは50%を占めます。大脳の働きと大きく関係し、認知機能にも影響を及ぼすのです。

大脳との関わり以外でも咀嚼は唾液の分泌を促すことで、でんぷんの分解により飲み込みをスムーズにしたり、肥満の予防をします。また口内乾燥を防ぎウイルスや細菌感染の予防、更に唾液がパロチンというホルモンになり皮膚や歯、内臓、血管等の生成を促進する作用等も持ちます。

このように咀嚼は非常に大きな役割を持ち、嚥下能力の維持、向上には欠かせません。

ここで現在の嚥下能力をテストしてみましょう。

喉ぼとけに中指で軽くふれて30秒間唾液を飲み続けます。

30秒で2回以下の場合は嚥下機能に何らかの問題があり、3回以上だと正常といえます。いかがでしたでしょうか?

普段しっかり咀嚼運動を行っていない方は2回以下かもしれません。

ここからは咀嚼力を上げる為のエクササイズと、唾液の分泌を促すセルフマッサージをご紹介致します。

片手を額に当てます。頭を前に倒そうと軽く力を入れていきます。その力に対して額に当てた手で抵抗します。頭は実際には動かさず保持したまま抵抗を掛け合います。

1回で10秒を3~5セット行います。喉ぼとけは年齢と共に下がってきて飲み込む力も低下するので発声練習や舌の運動等とセットで行い嚥下能力を養います。

次に咀嚼に欠かせない唾液の分泌を促すエクササイズをご紹介します。

1)耳たぶの前、奥歯の辺りを10回、円を書くようにマッサージします。

写真1 写真2
中、人指し、薬指の3本でやさしく行う

2)耳の裏から顎の下までの唾液を分泌する顎下腺を指で押していきます。
これを2往復行います。

写真3 写真4
3本の指で軽く指圧していく

写真5 写真6
顎の下は親指で指圧する(10回押す)

このように発声練習や首、舌の運動を行って咀嚼機能の維持、向上を心がけ、さらに表情筋を刺激する等して嚥下能力を養いながら口腔機能の低下を防ぎましょう。