胆経

胆経は肝経と対の働きを成し、頭部側面、胴体から大腿部、下腿外側面を通るエネルギーラインに位置しています。

主に身体全体の筋肉の状態を示唆し、筋肉のコリ、疲労、そこからくる痙攣、攣れる、こむら返りなど外表面、筋肉系のトラブル等に関連してきます。

ストレス等交感神経優位状態が続くと、呼吸も浅くなり酸素供給不足なります。逆説的ですが浅い呼吸によって身体の隅々まで酸素が運ばれなくなる為、更に浅い呼吸の状況下、酸素を取り込むことによって、活性酸素が発生します。その活性酸素の影響で血液も乳酸等、酸化してしまいます。呼吸が浅いのは肋骨筋群の硬直から肋骨の動き及び横隔膜の動きが制限されることによります。

酸化した血液をろ過するのは前述してきた腎臓ですが、乳酸を分解するのは肝臓になります。乳酸の分解作用が交感神経優位下で持続すると、肝臓及び胆嚢は疲労してきて炎症に繋がります。分解能力が追い付かなくなると、酸化した血液は滞留、血流不全から筋肉の痙攣、硬化が起こってくるというメカニズムです。姿勢やデスクワークというよりはストレスによる自律神経の乱れから恒常性を失い、肝臓に負担がかかるという自律神経系、内臓の疲労、炎症が主要因と言えます。デスクワーク等で筋肉が硬くなっても、入浴したり、一晩休めば恒常性が正常に機能していれば快方に向かうはずです。

同じ作業をしていても筋肉が疲労しやすい方とそうじゃない方の差はそこからきています。

腎経

東洋医学での腎と西洋医学での腎臓、泌尿器とは勿論重複する概念もありますが、東洋医学でのそれはより、多岐にわたり、役割、重要度もかなり高いものとなっています。

足裏の湧泉から起り、下腿内側から大腿部内側を通る陰の経絡です。活力、精力を司り、持って生まれた体質、生命力にも起因するエネルギーポイントと考えられています。

対になる陽経が膀胱経なので当然、泌尿器の役割、主に腎機能の慢性疾患に対応しますが、同様に脊椎、脊髄神経にも大きく関わります。逆に考えると、脊椎系のあらゆる疾患、ヘルニア、ギックリ腰、狭窄症、分離すべり症、圧迫骨折等も腎の労費、機能低下が原因と言えます。腎臓は血液の濾過機能やホルモン分泌も司りますが、ビタミンD生成にも関与し、骨の形成に一役を負うわけですから理にかなっています。

脊髄は脳神経や脳脊髄液、脳の血流に直結する為、腎は脳の働きや疾患にも影響しているとも考えらえています。

また、腎臓の上に付着している副腎も、東洋医学では腎の範疇になり、むしろ、副腎=腎経と捉えても良いと思われます。

子供の体質、病気、アレルギー等は腎経からアプローチが有効で、アレルギーを抑制するステロイドホルモンの分泌低下がアレルギー症状を引き起こすと思われ、とどのつまり、副腎の機能不全や疲労が原因となります。

腎の疲労、副腎の機能低下とは、濾過機能の疲労なので、濾過に負担をかける水分類(糖質過多、お茶、アルコール等不純物)の常用摂取、性の浪費が挙げられます。また、ステロイドホルモンの役割は血糖値安定、炎症抑制ですが、その様な身体状況は、慢性ストレスにさらされている、甘いもの、糖質を継続的に許容量を超えて摂取し続けていることが容易に想像できます。

その様な交感神経優位状態になると、腎臓や副腎、膀胱も疲労、機能低下が起こり、ギックリ腰から慢性腰痛、ヘルニア、狭窄症等脊椎や関節疾患、炎症=各所の慢性痛、アレルギー等を誘発します。

膀胱経 Ⅲ

巷では減塩アイテムが大きな注目を集め、減塩とすることが健康につながるという認識で広がっているように見えます。しかし、ここまで述べてきたように、例えば膀胱経にトラブルが生じた場合の症状で鑑みると、水分不足、糖分摂取過多が主な原因となっています。血圧との因果関係で考えると、8割以上は本態性高血圧症と言われ、つまり原因がはっきりしていない、わからない高血圧にもかかわらず、何故か医療機関も栄養指導でも頑なに減塩指導が主流で、降圧剤の処方が続いています。

むしろ塩分不足でミネラルバランスが崩れ、ホルモン生成や分泌に支障をきたしたり、冷えによって逆に血圧が上がってしまいます。減塩ではなく減糖にすべきなのですが、そこには頓着なく摂取し続け、糖質過多なのに水分を摂取する為、いわゆる水毒となって、冷え、むくみ、内臓不良になってしまうのです。

カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム等それぞれの配合バランスを考慮すべきで、むやみに減塩をしたところで血圧の安定には繋がりません。果物の過剰摂取でカリウム過多からむくみや節々の炎症も生じています。

必要なことは塩分は普通にしっかり摂取する、糖分を意識的に控える、水分も摂取する、ということで、これが泌尿器系の正常維持に繋がります。

本態性高血圧に関して一つはっきりしているのは、数値上原因が見つからなくても、自律神経のバランスが乱れ、主に交感神経が優位な状況に陥っていて、その主要因は心因性だということです。繰り返しますが、ベクトルを向けるべきポイントは減糖とストレスです。

東洋医学が膀胱経、腎経等に推奨する養生に欠かせない食材の塩辛いもの、黒いもの(黒豆、昆布、海苔、黒胡椒、胡麻等)というのは非常に理にかなっていると言えますね。

膀胱経 2

膀胱経絡は陰陽論で言うと陽にあたるので一概には言い切れませんが、比較的急性期、初期症状でまだ、深刻に慢性化していない状況と割り切って考えると捉えやすいかもしれません。

膀胱に問題が起こると、後頭部痛、背骨の柔軟性、臀部や大腿裏、下腿部、踵の痛み、神経痛等に出やすいと述べてきました。夜尿症、膀胱炎、他泌尿器疾患、内臓の収縮等も起こります。逆に言うとそれらの症状を緩和させる作用も期待できます。

慢性化している場合は陰の経絡、対となる腎経絡へアプローチが必要となります。

血液の濾過作用が本来の泌尿器の働きなので機能低下が起こると、血液が黒くなり、肌も黒みがかり、目のクマなども顕著となります。腎臓や膀胱の炎症、疲労はその臓器の脊椎神経根となる仙骨、腰椎も炎症が起こって腰痛、坐骨神経痛になったり、ヘルニア、すべり分離症、狭窄症、靭帯硬化症等脊椎、脊髄全般の諸症状の引き金にもなります。

水分が不足する寒い時期、冬にギックリ腰、腰痛が発症するのもその為です。

膀胱経

ここからは東洋医学を通しての身体の調整、捉え方等言及していきます。

陰陽五行、五臓六腑の考え方で進めると膀胱経が施術時のスタートとなります。膀胱経は後頭部、背骨脇や大腿から下腿にかけて裏面を通り、踵、足五趾に至るライン上に位置しています。

このライン上に違和感が生じると膀胱系に何かしらトラブルが生じていることが一つの予測として成り立ちます。

よく診られる現象としては踵の痛みです。比較的女性に多いようです。膀胱、泌尿器に炎症、トラブルを抱えていることが予想されます。

水分不足の方はしっかり水分の摂取を、そしてミネラルバランスが崩れていることが多く、カリウム過多つまり果物等の過剰、継続摂取でむくみや膀胱に負担がかかっていることも考えられますのでナトリウム、塩分をしっかり摂ることも必要になります。

このような対処で踵の痛みは一日から数日で消失します。心当たりがある方はお試し下さい。糖質過多で膀胱排出機能が低下し膀胱炎になった場合は、水分の摂取は抑えつつ、ナトリウムバランスを留意する必要があります。

非常に多岐に、広範囲に深く考察すべき点が多い為、今後も少々のんびり時間をかけて解説を進めていきます。

歩幅と歩隔

前回のコラムでは胴体の可動性の重要性を述べ、日頃から胴体が固まってしまわないような取組についても述べてきました。

今回は日常動作が胴体に及ぼす影響について解説します。日頃から胴体をしなやかに保つストレッチや意識を持ち続けることは大切で、例えば長時間座っている時等は浅く座って、肋骨が下垂し、円背になり頭部も前方にもたれ、生理的湾曲が乱れてしまうことが多いです。しっかり深く座り、猫背にならないように姿勢を保ち、長時間座位が続いた後はストレッチポール等でも胴体を広げる作業等も必要となります。

この座位姿勢中や座位後の取り組みに対する意識も大事なのですが、他の日常動作として、歩容も大きく姿勢に関わってきます。

まずは脚の前後幅、歩行時のストライドです。胴体が固まると歩幅も狭くなりますし、大腿二頭筋や殿筋群が衰えてきても歩幅は狭まります。歩幅が狭まると骨盤や肋骨、脊椎、肩甲骨の動きは極端に小さくなり、胴体の可動性は失われていきます。中高齢年になると、殿筋や下肢筋力の低下は必定なので、意識的に歩幅を拡げて歩行できるかが分かれ道になります。歩幅を保つように歩行すると、いやがうえにも殿筋群や大腿部の筋肉を稼動させるので、結果として胴体の硬化も緩やかにすることが可能となります。

もう一つの歩容として、脚の左右幅、歩隔も忘れてはいけないポイントで、胴体が固まる、殿筋が衰えてしまった高齢者の多くは極端に歩隔も狭く、結果として殿筋も更に弱体化し、外足(小指側)重心となる為、外反母趾の場合は増長され、O脚となり、膝や股関節、腰への負担、変形が増長されてしまいます。

少しの意識で歩幅も歩隔も変わってくるので、歩容は若いころから意識し続ける必要があるのかもしれません。

もう一つ、歩容に対し相互的に影響する身体の部位は足関節の関節可動域です。

前述のように歩幅も歩隔も狭まった歩行動作だと、殿筋群や大腿部は勿論、下腿筋群も衰えが増長されるので、全体重がのしかかかる足関節にも圧縮からくる負担が増し、可動域が制限されてしまいます。歩容を意識することで足関節の柔軟性も維持できますし、日頃から足関節の柔軟性、可動性を留意した取り組みを継続することも胴体のしなやかさを結果的に保つこととなります。

アスリートであってもアキレス腱損傷等、年齢を重ねると怪我のリスクが増すのに、一般人が足関節のケアを意識せずジョギング等行うのは非常にリスクが高まります。間違いなく膝や腰にも勤続的負担が溜まり、何かしらの弊害が出ることでしょう。

足底筋のしなやかさ、足趾の可動性、足関節の柔軟性等はもっと留意し、日頃のケアを行うべき大切なポイントだと知って頂きたいです。

胴体

ここまで脊椎、骨盤の矯正法、歪みのメカニズム等について言及してきましたが、脊椎、肋骨、肩甲骨、胴体について今一度考察していきます。

胴体の可動方向は結局骨盤や脊椎同様、前後屈、回旋、側屈方向の3次元となります。

この3方向ですが、年齢を重ね、様々な部位が硬化していく中でも、とりわけ側屈が最も可動域制限が起こるように見受けられます。前後屈は柔らかい、しっかり股関節も屈曲する、座位なら胴体もある程度回る(回旋)という方でも、側屈が理想的に行える、ということになるとなかなか難しいように感じています。

側屈動作が硬いということは、骨盤から肋骨にかけて可動性が失われているということなので、側部が縮み、姿勢不良、円背の進行もなかなか抑えにくくなります。

筋肉的には腰方形筋、肋間筋群、脊柱起立筋群、背筋群等にあたり、これらの筋肉群が硬化、変性していきます。肋間筋群の硬化は肋骨、横隔膜の動きを制限することから、呼吸が浅くなり、酸素供給量も減る為血流不全及び酸欠による細胞の代謝不全、変性、壊死を招くことで更に肋間筋群が硬化する、という負のループに陥ってしまう恐れがあります。

肋骨の可動制限は上肢の可動制限、頸椎の可動域も抑制してしまいます。ラジオ体操のような側屈動作、つまり上肢を耳の傍まで挙げて逆側に側屈するような動きも制限する為、常に胴体側部は収縮してしまいます。

円背は極端な胴体の屈曲姿勢の常態化ではありますが、むしろ前後屈の動作以上に側屈の動作の方が硬化して可動域制限が起こることで円背が増長されると感じています。

日頃から胴体の3方向の可動性を養っていくことが骨盤の可動性、四肢の可動制限を防ぐことになります。

側臥位で片手を床について胴体を起こし側部を伸ばしたり(図1)、指を壁にはわせて、屈曲側に重心を乗せて側部をストレッチさせる立位動作(図2.3)を行いストレッチをしていきましょう。

図1 側臥位上方の脚は膝を曲げ前に下し上体を起こす

図2 指を壁に這わせる
図3 上肢屈曲側に重心をかけて肋骨側面を伸ばす

頸椎の調整 Ⅰ

7つの頸椎では捻挫部位によって症状も予測されます。頭痛、めまい、癲癇、眼精疲労、耳鳴り、突発性難聴、鼻炎等は頸椎1~3番、喉のトラブルは5、6番、上肢の痺れ、肩の痛みは頸椎下部全般となります。

頸椎1番はカイロプラクティックでは高度な技術を要しますが、オステオパシー領域では比較的簡易に、安全にスムーズに矯正が可能です。

仰向けから左右ゆっくりと回旋し、回旋し易い側に90秒程静止、その後ゆっくり元の正中上に戻すことで矯正されます。C1は屈曲や伸展等加えず回旋のみですがC2~C7あたりになると健側へある程度回旋、側屈、そして伸展が加わります。頸椎下部にいくほど伸展角度も大きくしていくことでその部位が調整されます。

C8、つまり胸椎1番の神経部位は健側へ回旋仕切り、患側へやや側屈、そのまま少し伸展を加えることで矯正されます。カイロプラクティック、オステオパシー領域のいくつかのテクニック、ブロック、アクチベータ等様々な調整法がありますが、頸椎についてはオステオパシー領域の前述のカウンターストレインが最も患者への精神的緊張と負担が少なく、安全に確実に行えると考えています。

ただし、頸椎に関してはあくまで胴体とのバランスを考慮した上で調整を進めるべきで、胴体、肋骨の左右の膨らみ具合、胸部からの巻き肩、正中線を考慮した肩の高さ等を配慮し調整を進めた上でアプローチすべきです。

第一肋骨の調整

今回は第一肋骨について解説します。第一肋骨は胸椎一番と連結している為、まず胸椎一番が変位を起こしていると考えます。形状が異なる頸椎と胸椎の境目に位置する為、あまり可動性は無く、しばしばトラブルを起こすポイントにもなりやすい箇所です。

上肢から手指外側の神経に繋がる神経根でもあり、ここに捻挫が起きると神経痛、痺れが起きることもあります。

ちなみに胸椎12番と連動し、同様に変位が生じることが多々あり、ロベットブラザーの法則と言われています。胸椎12番も腰椎との連結部で捻挫を起こしやすいのですが、大元は腎臓や副腎の内科的トラブルが原因で、椎間関節も結果として石灰化を起こしたり、高齢になると圧迫骨折を起こす箇所にもなります。

つまり、胸椎1番と肋骨の1番目の問題も腎臓や副腎トラブルを示唆しているともいえます。

第一肋骨は鎖骨の上、僧帽筋前部に位置し、上部から押すと肋骨が隆起しているのがわかり、圧痛も伴います。肋骨隆起側は正面から正中線で左右差を確認をすると、肩が下垂している側に起こっていることが多いようです。

椅子等に座位姿勢をとり、健側腋窩に膝をあてがいます。首は健側に回旋、少し伸展し、患側肋骨隆起ポイントを指で触れながら90秒程リラックス、静止します。90秒経ったら、できるだけゆっくり戻していきます。

重だるい肩こり、というより痛みに近い肩のこりの場合このように肋骨変位が生じており、頸椎や上肢の可動制限も生じることも少なくありません。痺れや寝違い様症状も起こることもあります。いくら筋肉を緩めても、この場合解消されない為、第一肋骨をしっかり調整することが求められます。

肋骨部の調整

前回までは胸椎の変位、その原因、そしてそれぞれの矯正法について解説してきました。

今回は肋骨の調整法について言及していきます。肋骨の痛みや炎症は背骨の横突起に近いに箇所の肋骨、胴体側面部分、そして胸骨側等に部位も分かれてきます。横突起に近い箇所は肋椎関節の捻挫や炎症、胸骨側は胸肋関節のトラブルの可能性もあります。いずれにせよ大元の胸椎に必ず変位が起こっていて、そこに連結する肋骨も必然的に変位から捻挫、炎症が生じることで疼痛の発現に至ります。

問題個所を触診するすると、隆起していて、または周辺全体に肋骨が膨らんでいたりします。背骨を中心に左が大きく膨らんでいたら脾臓つまり免疫系トラブル、右側なら肝臓の炎症に繋がることが多く、これは胸椎での解説の通りです。

正座の姿勢から肋骨変位側に坐骨をずらして横座りさせます。変位側(患側)の脇に術者の膝をあてがい、寄り掛かった状態にさせて脱力させます。健側へ頸椎をやや回旋そして屈曲位をとり、90秒程静止します。そこから脱力しながらゆっくり元の姿勢に戻します。